日本人の死亡原因の第3位は肺炎です
このコーナーでは口腔と誤嚥性肺炎との関わりを説明したいと思います。
ここ数年、日本人の死亡原因の第3位が脳卒中を抜いて“肺炎”になりました。
肺炎で亡くなる方が年間約13万人いますが、そのうちの約97%が65歳以上の高齢者です。
*永末書店「細菌から体を守るプラークコントロール」
高齢者の肺炎は食物や唾液などを誤って気管から肺に吸い込む事で起こり誤嚥性肺炎が多く、約7割を占めているとされています。 特に夜間睡眠中の唾液により起こる事が多く、唾液中に混ざっている細菌(特に歯周病菌)が原因です。
*朝日新聞より
特に、脳卒中や認知症、パーキンソン病などの神経の難病にかかると起こりやすくなります。 それは咳や嚥下(飲み込み)を司る神経が上手く働かないからです。
また介護が必要な高齢者は免疫力が低下、唾液量の減少、自分で歯が磨けない状態、などにより、口腔内が不潔になるため唾液中の細菌が増えてしまうから誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。
*「NHK ためしてガッテン」2015年秋号 主婦と生活社
大震災による教訓
誤嚥性肺炎が注目されたのは1995年に起きた阪神・淡路大震災の時でした。避難所で多くの高齢者が肺炎で亡くなりました。
そのうちかなりの人が誤嚥性肺炎であった事が判明しました。 寒い時期や水不足により口の中や入れ歯を清潔にする事が出来なかった事が原因とされています。
その教訓を生かし、2004年の中新潟中越地震や東日本大震災では口腔ケアを徹底させ誤嚥性肺炎を減らしました。
*朝日新聞より
誤嚥性肺炎を防ぐと…
ある施設で、口腔ケアを徹底させたところ、誤嚥性肺炎の初期症状の微熱の発生が半分近くに抑える事ができたそうです。 調査した先生によれば「口腔ケアが抗生物質などよりもはるかに優れている。毎日の介護が極めて有効であることが示された。」と述べております。
ある試算によると、口腔ケアで40%誤嚥性肺炎の発症者数を減らせると年間589億円の医療費を安くできます。