以前より、歯の少ない人は認知症になりやすい傾向がある事は知られていましたが、今回追跡調査の結果、それが証明されました。歯がないままになっている方は入れ歯を作る事をお勧め致します。
*歯科通販会社Ciメディカル歯科コミュニケーションマガジン Dentalism(デンタリズム)から引用
誰もが恐れている病気は“ガン”と“認知症”だと思います。
認知症は年をとるほど、なりやすくなります。65歳以上70歳未満の有病率は1.5%、85歳では27%に達します。日本における65歳以上の認知症患者はすでに240万を超えているという推計もあります。さらに団塊世代が65歳以上になる2015年には250万人、2020年には300万人を超すと推定されています。高齢社会の日本では認知症が今後ますます重要な問題になってきます。
認知症は、記憶や思考などの能力が脳の病気や障害の為に低下していく障害です。認知症にはいくつかの種類があります。いちばん多いのがアルツハイマー型認知症で、脳神経が変性して脳の一部が萎縮していく過程でおきる認知症です。特に認知症は治療が困難なうえ、長期間の介護や徘徊などの家族への負担、国の医療費の問題など社会問題化しています。
そこで、歯科医師として認知症の予防のために「何が出来るか?」をお伝えしたいと思います。
健康な人は平均14.9本
認知症の人は平均9.4本
歯が少ない人は認知症になりやすいというデータがあります。
動物実験で餌を柔らかくした「噛まない」状態や歯を削って「噛めない」状態の動物は認知機能が低下するという結果が出ました。
従って、「歯を抜きっぱなし」にしたり「柔らかい物ばかりの食事」をしていると認知機能が低下してしまいます。
*多数の歯が無い状態にしておくのは認知機能の低下につながるので、入れ歯を使用するようにしましょう。
新聞と歯科雑誌に掲載されました
アルツハイマー病は発症の20~25年も前から物質が作られているのをご存知ですか?
早期に歯を失い、そのまま放置をしておくと、原因物質の発生が早まる可能性があるので、早目に噛めるように治療をしてもらいましょう。
入れ歯を入れただけで表情に変化が現れた方達が紹介されていました。
入れ歯を入れたら介護なしに歩行が出来るようになりました。
ガムを噛むと高齢者程、連合野が顕著に活性化する
*歯の無い人は入れ歯を作りましょう。
前頭前野は「認知症」と深い関わりがあります。
前頭前野の働き(脳の最高中枢)
*認知症で道がわからなくなる、今までできた事ができなくなるのは前頭前野の集中力が低下するためです。
ガムを噛む前後で作業記憶のテストをしました。 ガムを噛みながら作業や仕事を行うと集中力や作業能率がアップします。
ガムだけでなく食事もゆっくり、良く噛んで召し上がってください。
野球選手は緊張をほぐすためにガムを噛んでいます。
「噛めない」「食べられない」はかなりのストレスになります。 ストレスは海馬の神経細胞を死滅させます。
ベトナム帰還兵の兵士の脳を調べたら海馬の委縮が起きていました。「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」が起きていました。 東日本大震災でもPTSDは確認されています。
食事が出来るように、費用をかけてでもきちんとした入れ歯を作りましょう。
「最近、ちょうと前の事は忘れるが、昔の事はちゃんと覚えている」
こんな事はないですか?
海馬:短期記憶を担当します。
大脳皮質:長期記憶を担当しています。
良く噛む事により、物忘れが少なくなります。
海馬の機能の衰えは老化現象です。
ガムを噛むと海馬が活性化し、噛む事により海馬の機能低下に歯止めをかけることができます。
噛む事で記憶力も高まります。
空間認知能力も上がり「道に迷うことなど」も減ります。
噛めないマウスは脳(海馬)への情報が30%も減少しました。
噛めないマウスの歯を修復したら、噛めるマウスの値に近づきました。
記憶に関わる神経伝達物質がアセチルコリンです。 アルツハイマー病(認知症)で直近の事を忘れるのは、アセチルコリンが減るからです。
アリセプトという薬は、アセチルコリンを減らさないようにする薬です。
噛む事によりアセチルコリンを減らさないようにできます。
噛めないマウスは、たった1週間で海馬(短期記憶中枢)の神経細胞が30%減少しました。つまり、海馬は委縮し、記憶力の低下を招きます。
噛んで神経細胞に刺激とたくさんの情報を与えてください。 *入れ歯を作りましょう
年齢とはかかわりなく、柔らかいもの中心の食事を続けると海馬の神経細胞の新生が抑制され空間認知能力が低下します。
口を使って食事をしないと認知機能が衰えます。
「口から食べることができなくなったので、もう長くないね」なんて事を聞いたことがありませんか?
入院患者さんが胃ろうにしたら認知症の症状が強くなってきたなどの報告が医療現場から出ています。
噛まない食事が習慣化すると脳内の神経伝達物質に異変が起きます。
ドーパミン・セレトニンの分泌が減少
ドーパミン:目標や夢をもち意欲的に努力する時に分泌
セレトニン:心を穏やかにする役割
*憂うつな時こそ、良く噛むようにする事が大切
歯を失って、噛む機能が低下すると、脳の機能が低下するのは明らかです。歯の無い状態を放置するのはやめましょう。
ご自身の歯でなくても、入れ歯などでも脳の機能が回復しやすい事が実験により分っていますので、認知症予防につながります。
しかし、1番大事なのは、歯を失わないようにする事です。
そのためには歯科での検診や予防処置がかかせません。
是非、定期健診を受けるようにしましょう。
内容の要約は下記をお読みください。
歯周病が認知症の症状を悪化させる仕組みを、国立長寿医療研究センター、名古屋市立大学などの研究グループが解明した。歯周病菌の毒素がアルツハイマー病の原因とされる脳の「ゴミ」を増やし、認知症の症状が悪化するそうです。
研究成果が、英専門誌に掲載されました。『認知症の6割を占めるとされるアルツハイマー病は、脳の神経細胞の中にアミロイドβというたんぱく質の「ゴミ」がたまり、神経細胞が徐々に死滅することが原因と考えられている。』
研究グループは、アルツハイマー病を発症するマウスに歯周病菌を感染させて、歯周病ではないアルツハイマー病のマウスの脳と比較した。5週間後、歯周病のマウスでは記憶をつかさどる海馬でアミロイドβの量が約1・4倍に増えていた。 さらに、記憶学習能力を調べる実験でも、歯周病のマウスでは認知機能が低下していたそうです。これにより歯周病と認知症には因果関係があることが分かってきました。